Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■486 / 15階層)  フェイス3ロキ2
□投稿者/ パース -(2006/11/09(Thu) 00:11:11)
    (正直、眠気と戦いながら書いたため、最後の方はできが悪いです)(何)


    そこでは今、異質な空気が流れていた。
    崩壊し、砂埃を巻き上げるビル、その上に剣を持って立つ男が一人。
    そしてそれと対峙するのは、小さな女の子が一人と、狼が一匹。


    『娘、いつでも能力を解放できるように準備しておけ』
    「はいです・・・・・・・・!」


    そしてフェンリルと男が睨み合うこと数秒。


    『グルルルル・・・・・・・・・ルガァッ!!!』
    「はぁぁぁあああああ――――!!!!」


    動いたのはほとんど同時だった。
    フェンリルが動き、それとほぼ同時に相手の男、剣先が四つに別れたいびつな剣を持った男も動いた。


    「・・・・・・・・・・・・・『破砕』!!!」


    男は声を上げながら、フェンリルに向かい剣を振るった。


    『ガルルル・・・・・・・・・・・・・・・・・ルッ!!?』


    男に肉迫しようとしていたフェンリルは、突然に地面を蹴り、全く別の方向に逃げ飛んだ、その直後、


    ―――バシュッ!!


    何もない空間、ちょうど男が斬った場所の直線上にある空間が、突如として弾け飛んだ。


    「ちっ、避けたか・・・・・・・・・だが!!」


    さらに男は続けて、水平に、縦に、フェンリル向けて剣を振るう。
    フェンリルはその斜線上から飛び退き、その直後。


    ―――ズバシュッ!!
    ―――ボグアッ!!


    男が水平に薙いだその直線上にあるビルの壁に大きな破壊痕が刻み込まれ、続いて別なビルの柱の一本が音を立ててへし折れた。


    「ハハハ・・・・・・!俺の剣、ダインスレイブは周りに破壊を呼び起こす剣だ、避けてばかりじゃどうにもならないぞ!!」


    さらに続けて男は2度、3度と剣を振るい、その度に周辺の建築物が破壊されてゆく。


    『グルルルル・・・・・・・・・・・・・・小娘!『力』で俺を援護しろ!!』
    「ハイです!!」


    ロアが目を閉じ、集中したが、一瞬の後、目を開いた。


    「あれ!?魂が3つあるですよ?昨日は2つしか無かったんじゃ無いんですかー?」
    『昨日のうちに手に入れておいたんだ!!そんなことはどうでもいいだろう!!早くしろ!!!』


    フェンリルが珍しく焦ったように声を荒げる、男はようやくロアに気がついたようで、ロアに目を向けた後、歪んだ笑みを浮かべる。


    「ハハハハ!なんだ、神具の所持者はそんなところにいたのか!だったらそっちから先に殺してやる!みんな殺して、俺が生き残るんだ!!!」
    『小娘!早くしろ!!』
    「『選択』・『風刃スキンゲイル』、解放!『風刃』発動!!」


    男がロアに向けて攻撃を放つよりは早く、ロアがフェンリルの能力を解放した。


    フェンリルの能力、それはいままで喰らってきた『魂』が持つ力を自由に使役することが出来ることである、さらに大きな魂を喰らうごとにフェンリル自身の能力も格段に上昇していく。


    ロアが能力を発動した瞬間、空中にいくつもの風の刃が出現し、それらは一斉に男目掛けて殺到する。
    ロアを攻撃しようとした男は、突如として空中に現れたいくつもの風の刃に退避を余儀なくされ、後ろに跳び退った。
    さらにロアは『力』を発動した。


    「『選択』・『糸切刃ハーベリングス』、解放!『糸纏』発動!!」


    瞬間、フェンリルの体から細い糸状の毛ががいくつも生えだし、フェンリルの体毛が倍近くになっていく、それらの糸は、神具としてのハーベリングスであったときと同じように、細く、しかし切れ味の鋭い凶器であった。


    「増毛です・・・・・・・・・・・・・」


    ロアの呟きには誰も反応しなかった。


    『糸纏』が終わると同時、フェンリルはその体を震わせ、一気に男目掛けて突進した。


    「ちっ、だったら所持者の方を狙うまでだ!!」


    男は、その剣をロアに向け剣を振ろうとした、しかしその前にフェンリルが歩み出る。


    「はっ、その程度の鎧で受け止められると思うな!!!『破砕』、『破砕』!『破砕』!!」


    3連打、破壊の刃が吹き荒れる。
    フェンリルはそれがぶつかる直前に横に回避する、しかしそこには既にロアの姿はない。
    フェンリルがロアの前に出たのは、ただのフェイントであった。
    破壊の刃はそのままロアとフェンリルの間を通り過ぎ、ビルにぶち当たってビルを大きく破壊する。
    それを背に、ロアは男の右側へ、フェンリルは男の左側へと飛んだ。


    『小娘!もっと『力』を使え!!俺自身の力はまだ使っていないだろう!?それにまだあと一つ解放していない神具があったはずだ!』
    「無理言わないでください!神具を一つ使うだけでも大変なんです!3つも4つも同時になんて使えるわけ無いです!!」
    『クソッ・・・・・・・・』


    そうフェンリルに返しつつ、ロアは大量の風の刃を生み出し、それを男目掛けて発射していく。
    しかし男は、標的をロア一人に決めたらしく、それらの風刃を物ともせずに、ロアに攻撃を仕掛けてきた。


    「くそっ!ちょこまかとうっとおしい!!」


    男は、力を込めようとして、突然膝を付いた、しかしすぐさま立ち上がってロアに向けて刃を振り下ろす。


    「はああぁああああああ!!!!『破砕剣』!!!」


    その剣は、ロア本人ではなく、ロアの足下の地面目掛けて打ち出されていた、ロアはとっさに何かを感じて後ろに跳んだ、その直後男とロアの間の地面がまとめて爆散した。


    「そんなっ、あう・・・・・・・・!!」


    直撃はなんとか回避したものの、ロアの華奢な体ではその爆風に耐えきれず、大きく吹き飛ばされてしまう。


    「うぐっ・・・・・・・・・げはっ・・・・・・・!さぁ!残るは、狼!お前だけだ、早く来い!!!」


    男は、血を吐きながらもフェンリルに向けて大声を上げた。


    『グルルルルルルルル・・・・・・・・・・・・・そうか、その剣、魔剣か・・・・・・・・・・よくもそんなになってまで使ったものだな』
    「うるさい!俺は、必ず帰るんだ・・・・・・・・・!こんなわけのわからない場所で死んでたまるか!!帰るためだったら、いくらでも戦ってやるさ、いくらでも殺してやるさ!!」


    それは、男の本音、それは、男が何もかもを賭けて、命すらも魔剣に吸い取られながら・・・・・・・・・・・・・・・、それでも戦おうとしている姿。
    男の持つ武器、それは『魔砕剣ダインスレイブ』、れっきとした魔剣である。
    能力は単純、魂と、命を消費すればするほど、破壊能力が格段に上昇していくのだ。


    「俺は、元の世界に帰るために、何が何でも生き残って、他の神具の所持者達も倒して、それで元の世界に帰るんだ!!そのためにお前を斃す!!!」
    『はっ、いきがるなよ、小僧!』


    男は剣を振り上げ、それと同時にフェンリルが駆け出した。


    男の一撃をフェンリルは皮一枚で回避、糸毛が粉々に吹き飛ばされていく。
    さらに、男が剣を横に薙ぎ払い、破壊の刃が横に飛ぶが、これもギリギリまで姿勢を低くして回避、フェンリルは男のすぐ目の前まで到達した。


    『ウォン!!』
    「ぐあっ!!」


    フェンリルと男がすれ違った直後、男の両足から血が噴き出した、フェンリルがとっさに頭と体を剣で防御した男の隙を付いたのだ。


    「ぐうっ、ちくしょう!!こんなところで、負けてられるか!!!ダインスレイブよ、俺の魂をありったけくれてやる、だからなんとしてもこいつをぶち殺すだけの力を!俺によこせ!!!!」


    男がそう叫び、男の体から斬られてもいないのに血が噴き出してゆく、しかしそれに比例して、剣にも禍々しい「気」が、破壊の刃が溜まってゆく。
    しかしフェンリルは、男が現在動けない状況にあると、見た瞬間、叫んだ。


    『小娘!!3つめの神具を解放しろ!!』
    「ハイです!『選択』・『ノートルダムの小箱』、発動!!!」


    即座に、がれきの側に隠れていたロアが能力を使う、フェンリルはこれまで3人の神具の所持者を喰らっていた、その3つ目の神具が、今解き放たれたのだ。


    その直後、破壊の刃を放とうとしていた男を中に閉じこめて、巨大な宝箱が街のど真ん中に出現した。


    「な、なんだ!?」


    男は一瞬にして、周りが暗くなったことに驚き、そしてその間に勝負は決着していた。


    『小娘、トドメだ!!』
    「『選択』・『フェンリスヴォルグ』、解放!、『王狼』・『猛襲裂牙』発動!!」


    「グッ、グガガガァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


    男の絶叫が、箱の中で響き渡り、そしてようやく街の中に静けさが訪れた。










    『これか、これが魔剣・・・・・・・・・・・・くくくくく・・・・・・・・・』


    フェンリルは、戦いが終わったあと、ついさっき戦った相手、そいつが持つ武器を眺めていた。


    『魔剣ダインスレイブ』


    『魔剣、それは魂を喰らって使役者に力を与える武器、それはつまり・・・・・・・・』


    この武器には今までの使役者達、複数の魂が含まれていることになる。


    『くくくく・・・・・・・・かかかかかか・・・・・・・・・・魔剣ダインスレイブよ、貴様の力と、貴様がこれまで喰らってきたいくつもの魂達の力、俺がもらい受けるぞ!』


    そして、フェンリルは魔剣を丸ごと、一口で丸呑みにした。
    数瞬の後、


    『くかかかかかかか!素晴らしい!これが魔剣の力か!』


    フェンリルの体が、巨大化・・・した。
    初めのうち、子供くらい、大人の腰くらいの大きさだったものが、魔剣の力を取り込んだ刹那、家一軒はあろうかと言うほどの、巨大な姿へと変貌していった。
    その上筋肉は強靱なものへ、爪と牙はより鋭く、より切れ味の良い物に変わっていった。
    そして、


    『小娘、くかかかかか、これほど強大な力を手に入れた俺ならば、貴様の望み通りヴァルキリーどもを皆殺しにしてやっても良いぞ』


    フェンリルに呼ばれたロアは、しかし、


    「はい」
    『だがまぁ、今となってはもはや俺の操り人形にすぎぬのだがな!』


    フェンリルの前に、一歩踏み出したロアは、しかし、その瞳に意志を宿すことはなく、表情を見せることもない、ただの人形のようになっていた。
    それはフェンリルの、神具『フェンリスヴォルグ』があまりにも強力になりすぎたために、ロアではもはや制御しきれず、逆に精神を乗っ取られてしまった結果だった。
    しかしそれらとは、全く関係のない声が、別の方向から聞こえてきた。


    「何よ、これは、なによこの馬鹿でっかい狼は!!なんでこんなに街がめちゃくちゃになってるのよ!!?」


    ビル群の崩壊を目撃して、その場に駆けつけた影美だった。


    『グルルルルル・・・・・・・・・神具の所持者か、くかかかか、この程度、食後のデザートにちょうど良いな!!』


    そして、今、フェンリルが強大化したその場に、新たな闖入者が訪れたことにより、いよいよ、最後の戦いの序曲が始まる。

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