Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■489 / 17階層)  フェイス2ロキ7
□投稿者/ パース -(2006/11/10(Fri) 23:56:52)
    『グオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーン!!!!!』


    フェンリルの絶叫が響き渡った。


    (倒した・・・・・・・!?)


    フェンリルは、力なく四肢を倒すかに、見えたが、


    『小娘!!!』
    「『選択』・『糸切刃ハーベリングス』、解放、『糸纏』、発動」


    瞬間、フェンリルの体から無数の細い糸状の凶器が出現、それらがフェンリルの真下にいた影美を襲った。


    「うわっ!痛っ!!」


    すぐさま影を伝って移動、フェンリルの下から脱出する。


    (ちょっ!この攻撃って!)
    『ああ、昨日戦った相手と同じ物じゃな』
    (なんで!?)
    『文字通り、「喰らった」んじゃろうな、神具ごと体内に取り込んだか』


    フェンリルは怒りをあらわに大声で叫びを上げた。


    『グルルルルルルルオオオオオオォォォォォォォ!!!!人間如きが!!俺様に傷を付けるなど!!!!ふざけるな!!許さぬ、決して許さぬ!!!小娘、全力で『力』を使え!!!!』


    フェンリルの声に答えて、女の子が声を上げる。


    「『選択』・『風刃スキンゲイル』、解放、『風吼陣』発動、『選択』・『魔砕剣ダインスレイブ』、解放、『破壊咆』発動」


    明らかに、なんかやばそうな名前の能力があった。


    (どうすんの・・・・・・・・・!!)
    『魔剣の能力を使ったか・・・・・・・・・・』
    (なんか知ってるの!?)
    『魔剣とは、魂を吸い取って使役者に凄まじい力を与える武器の事じゃ、それの威力は凄まじい、今のお主では相手にならんな』
    (そんな・・・・・・・・・・!!)


    一瞬だけ、無銘刀は押し黙って、何かを考えた後、言った。


    『・・・・・・・・・・・・・・影美、異空間を召喚しろ』
    (へ!?障害物がないからどうとか言ってなかった!?)
    『よいから、やれ』
    (・・・・・・・・・・うん!)


    無銘刀の言葉に、何か力強い物を感じ取った影美は、即座に異空間を発動する。
    周辺が不気味な場所に引き込まれ、ビル群が消え失せる。


    『魔剣は魂だけでなく、命や体の一部、様々な物を対価にしても力を手に入れることが出来る、それらはやはり、対価が大きければ大きいほどに、力もまた大きくなってゆく』
    「やけに詳しいね」
    『まぁ、本当のことを言えば、わしも魔剣じゃしな』
    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘ッ!!!?!?!??!???」
    『嘘じゃない、本当じゃ』
    「・・・・・・・・・・え、でも魔剣って何かを対価にとか何とかかんとか言ってなかった?」
    『わし、別に人間の魂とかいらんし、じゃからいままでいわんかったたけじゃ、安心せい、お主には別に何もしておらん』
    「そ、それは、よかったけど、それで、何でそれを今いうわけ?」
    『わしの力を使えばあやつを倒すことが出来る、じゃが、そのためには対価が必要じゃ』
    「・・・・・・・・・対価って何よ」
    『敵を殺せ、あの狼のそばにいた、人間の娘を、それで対価を支払ったことになる』
    「もし、殺すのに失敗したら?」


    数秒後、無銘刀は静かに言った。


    『お主の魂を半分もらう』


    「・・・・・・・・・・本気?」
    『冗談でこんな事は言わん』
    「・・・・・・・・・・おっけー、わかった、その話乗ったわ」
    『良いのか?』
    「何を今さら」
    『む・・・・・・・・・・来るぞ、構えよ』


    フェンリルが、そしてその側に女の子が、ようやく出現した、何をしていたのだろうか、そう問う必要はなかった。
    現れた直後のフェンリルが、影美目掛けて何かを口から発射した、それのために力を溜めていたのだろう。
    影美は右手に跳んで回避しようとしたが、その直前でフェンリルの口から放たれた何かが、地面に触れた。


    ―――ズドゴォン!!!


    地面に穴が空いて、影美はそのあまりの衝撃に吹き飛ばされた。


    「な・・・・・・・・!!!」
    『言ったじゃろう、魔剣の威力は凄まじいとな、これからわしも能力解放のための準備段階に入る、しばらくの間は反応できぬゆえ―――』
    「いいから!わかったから!!早く、早く早く!!死ぬ、死ぬからマジで速くして!!」


    フェンリルは、さらに影美に向けて口を開いた。
    新たにフェンリルの口から飛び出してきた物は、


    ―――竜巻だった。


    竜巻が、地面を抉り、削りながら、影美目掛けて直進してきた。


    「そんな無茶苦茶な!!!」


    叫んでる間にも竜巻は止まらない、影美は全力で左手に走り出す。
    竜巻は真っ直ぐ突き進み、難なくかわしたかに見えたが、いきなりその進路を変え、影美に突き進んでくる。


    「冗談じゃない!!」


    無銘刀を構え、影を操作、影で壁を作り出す。
    竜巻を壁で受け止めたのもつかの間、一瞬フェンリルへの配慮がおろそかになっていたその瞬間、フェンリルは再度破壊咆を撃ち込んでくる。


    ―――ゴウッ!!ボガァッ!!!ドゴォッ!!!!


    「うわっ!!いやぁ!!」


    影の壁など竜巻ごと一撃で塵屑のように吹き飛んだ。
    影美は紙一重で直撃を避けたものの、そのあまりの衝撃に10メートル以上、ヘタすると20メートル近く吹き飛ばされ、受け身を取る間もなく地面に叩きつけられる。


    「がはっ!げほっ!!」


    肺から空気が漏れ出す、しかしその間にも、フェンリルの猛攻は止まらない。
    戦車砲の如き一撃を持った「破壊咆」、触れればその身を切り刻まれる「風吼陣」、それらの攻撃が休む間もなく影美に襲いかかる。
    ボロボロの体を引きずり、逃げだし、その度にまた吹き飛ばされ、何度もそれを繰り返す。


    (・・・・・・・・・もしかして、私、このまんま・・・・・・・・・死んじゃう?)


    絶望の影が、影美の頭をよぎる。
    目を向ければ、フェンリルがこちらに向けて口を開き、破壊咆を放とうとしていた、影美には、もはや移動するだけの体力も気力も残っていない。
    フェンリルの口から、いよいよ破壊咆が解き放たれた、それはゆっくりと影美に直撃するコースを取っている、影美は全く、動くことが出来ないでいる。


    (・・・・・・・・・・・・・・・・・・無銘刀・・・・・・・・・・・・私に、力を・・・・・・・・・・!!)


    破壊咆が、影美に直撃する、その寸前。


    ―――『影月』、全能力解放。


    全てが、闇に包まれた。










    『グルルルルル・・・・・・・・・・・・・・・・・・一体、何が起こった』


    フェンリルは、突然目の前が真っ暗になったことに驚いた。
    いや、目の前だけではない、全方位、どちらを見ても光の一片すら存在していない。


    『フン、そういえばあの人間は影を操っていたな・・・・・・・・・だがこんなもの・・・・・・』


    フェンリルには「臭い」のみで相手の位置を感知することが出来る、それを用いれば、闇の中であることなど、フェンリルにとってなんのハンディにもならない。


    それによると、人間は先ほどの位置から全く動いていなかった、破壊咆の直撃を受けたはずだが、どうにかして避けたのかもしれない。
    だがそんなことは関係ない、次の一撃で確実に仕留めるだけだ。
    フェンリルの体内に「風吼陣」が溜まってゆく、


    『グロォァッ!!!』


    フェンリルは声と共に風吼陣を目標目掛けて撃ちだした。
    竜巻がフェンリルの体内より生み出され、高速で前進してゆく。
    臭いで気配を感じ取る、竜巻は確実に目標を挽き潰すコースにあった、目標はしかし動かない、そして竜巻が目標に直撃する直前、


    ―――風の動きが、消失した。


    『・・・・・・・・・!!?』










    全てが、闇により生まれた影全てが、影美の手足のように動く。
    それを操作し風の流れを変えることにより、竜巻は簡単に消失した。


    『よいか、これはお主の魂の強大さを使い、魔剣により能力を限界ギリギリまで引き延ばして使っておる、そのため長くは保たん、勝負は一撃で決めよ』


    影美の体は現在特異な物になっていた、体中に影が、闇色の液体のようにまとわりつき、影美の体を覆っている。
    中でも特に、右手と左手、それから背中には大量の影がどろどろとまとわりつき、影美の体を見えなくしていた。


    「うん、わかった、大丈夫、ぶっつけ本番だけど、なんとか使えるよ」


    右手と左手、背中に集中、影の形を作り替えてゆく。
    右手と左手には武器を表す。
    左手には手甲を、そして右手には、これまでの影美の腕くらいの長さの黒い片手剣、ではなく、1メートル近くはあろうかという剣、それもハルペーやシャムシールといわれるような、曲刀を召喚、両手で持つ。
    背中には羽を、ただし蝶や鳥やあるいはコウモリのように本物の羽である必要はない、ただなんとなくあったほうがいい気がしただけだ。


    影の変化を終えると同時―――影美は地を蹴った。


    左手の手甲にはそれほど意味はない、ただ単に影の操作率を上げるためだ、フェンリルを逃がさないために、フェンリルの全方位、360度全てから、茨を作り出す。


    『グルルルォアッ!!!?』


    突然のことにフェンリルが驚きおののく、その隙に影美は剣を二度、大きく振る、そこから影が伸び出し、巨大な二条の波になる、それが同時にフェンリルを襲う。


    『グルルルオアアアアアア!!!!何だ!一体何が起こっている!!!?』


    フェンリルは恐慌状態に陥っている、姿の見えぬ相手からの攻撃、当然だ、影に気配など無いのだから。
    二条の波が押し寄せ、さらに幾多もの影の茨がフェンリルを縫い止めてゆく。
    そして影美は、跳躍した、高く、高く、背中の羽も使って、フェンリルの頭上高くへと、飛び上がる。


    「やぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」


    裂帛の気合いを込めて、全ての影を右手の剣へ、剣が闇色に輝き、巨大化していく。
    そして、全ての影を剣が飲み込んだとき、影美は全力で振り下ろした。




    「はぁああああ!!!『影月エイゲツ』・『傾観斬魔ケイカンザンマ』ァ!!!!!」




    『グギャオァァァァァァァアアアアアアアアアーーーーーーーー!!!!!』


    影美が地面に降り立った直後、再びフェンリルの絶叫が響き渡った。

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