Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■518 / 20階層)  フェイス1ロキ9
□投稿者/ パース -(2006/11/17(Fri) 22:07:58)
    ―――『炎神』全能力解放。


    そして、世界が燃え上がった。










    『グルルルルル・・・・・・・・邪魔ナコトヲ、コンナ小娘ナド喰ラッテモ面白クナイカラ生カシテオイタトイウノニ・・・・・・・・・・・・・・・・』


    フェンリルは、爪に体を深々と斬り裂かれたロアを、何の感慨もなく放り投げた。
    その体は、ポーンと跳ねて地面に落ち、そしてそれきり動かない。


    『人形ナラバ、死人デモ同ジカ・・・・・・・・・ソレヨリ先ニ、早クコイツヲ喰ラウトシヨウ』


    そして、フェンリルは陽の体に近づき、


    『―――――!!?グルルルルル・・・・・・・・ナンダ、一体何ガ起コッテイル!!?』


    フェンリルは、先ほど、影美に撃退されたときとほぼ同じことを言った。
    それもそのはず、陽の体からは、炎が溢れかえっていたのだから。


    『グルルルルルルル・・・・・・・・・・・・・・ナンダ!?』


    陽は、ゆっくりと、その体を起こす。
    爪に引き裂かれ、牙で蹂躙されたはずの体は、いくらかではあるが回復していた。


    『フン・・・・・・・・・イマサラ悪アガキヲ・・・・・・・・・イマイマシイ!』


    フェンリルは、その爪で、陽を斬り裂こうとした、一発でケリが付くだろうと、そう思っていた。
    そして、今度も影美の時のようなことが起こる。


    「よくも・・・・・・・・ロアを・・・・・・・・・・・・・・・・・」


    フェンリルの攻撃が消滅した、ただし今度はフェンリルの前足一本という、大きな物であったが。


    ――――!!!?!????!?


    『グッグルルルルルラァァァァァッァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!』


    一瞬、陽の手が動いたかと思った瞬間、フェンリルの左の前足は消失していた。


    『オッ俺ノ前足ガァァァァァアアアアアアアアアア!!!!』
    「五月蝿い!」


    ボトリと、黒こげになったフェンリルの前足が地面に落下した。


    「よくもロアを!!」


    陽の右手にあった物は、片手で持つには、あり得ないほどの巨大さの、大剣だった。
    それは、真っ赤な炎をあしらったような、波打つ刃の形をしておりフランベルジュと呼ばれる剣によく似ていた、そして、それは、本物の炎を表すかのように、うっすらと、剣からは湯気が出ていた。


    陽は、言った。


    「お前は、お前だけは許さない!!!」










    『人間如キガ、コノフェンリル様ニナニヲ!!!』


    フェンリルは、陽に向かって駆け出した。


    『人間如キ、人間如キ!ニンゲンゴトキィィィィイイイイイイイイイ!!!!』


    片方の前足が無くなっているというのに、その驚異的なスピードは変わらぬまま、フェンリルは移動する。


    「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


    陽は、声を上げてその大剣を振り回した、すると。


    ―――ズリュッ!
    ―――バシュッ!
    ―――ドロリ


    ただ、触れただけ、それだけでコンクリ塊が、鉄塔が、瓦礫の山が、次々と消し炭になり、溶岩のような液体になり、跡形もなく消滅していった。


    『グゥルルォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!』


    フェンリルは、それらを巧みに回避し、瞬く間に陽の背後へ移動、フェンリルのもう一方の足が陽の背中を掠める、その直前。


    「ハァッ!!!」


    一瞬のうちにフェンリルの視界から陽の姿が失せ、次の瞬間にはフェンリルの背後に陽は立っていた。


    『・・・・・・・・・・・・・・ナニッ!!』


    フェンリルは一撃必殺を狙い跳びかかった、その時フェンリルは、一瞬たりとも陽という目標の気配から意識をそらしていなかった、それなのに、先ほどまでなら確実について行けたはずの気配に、フェンリルは追いつくことが出来なかった。
    そして、


    ―――バシュ!
    ―――ズバッ!
    ―――ボトリ。


    フェンリルの残る3本の足が全て焼けながら地面に落下した。


    『グゥォォォォォァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!!』


    フェンリルの絶叫が響き渡る。


    「まだまだぁーーーーーーーーーーーー!!!!」


    陽は、息が続く限りに吠える、そして。


    「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」


    陽が剣を振るう。
    ただ、それだけで炎が舞い上がり、周辺が灼熱に包まれる。
    一瞬で、街が火炎に包み込まれ、赤炎の地獄がその中心にいるフェンリルに襲いかかる。


    『グルルォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


    絶叫を上げるフェンリル目掛けて陽が叫ぶ。


    「終わりだ!全部何もかも燃え尽きろ!!!」


    陽が剣を構えると、全ての炎が陽を中心に集っていく。


    「『炎神』よ!俺にありったけの力を!!」


    陽に向けて、炎の力が集中してゆく。


    『オノレェ!我ハフェンリル「天と地とを喰らう者」ゾ!!人間如キニ敗レハセン!!!』


    フェンリルは、最後の力を振り絞って、陽に向けて全ての力を解放した。



    『『王狼』・『蹂躙爪牙』ァ!!!!!』



    フェンリルが、大きく口を開いた。
    フェンリルの口が、みるみる巨大化、いや、アゴの可動範囲を完全に超えて、大きく、大きく開かれてゆく。


    『我ガ最強ノ技デ、全テ消エ去レェ!!!!』


    フェンリルの口は、すでにフェンリル自身を越え、そして陽とロアを含む、全てを飲み込むために、空を覆い尽くした。


    「負けるか!!!」


    陽は、剣を構え、



    「『炎神』・『炎滅焼獄』!!!!!!!」



    炎が、陽の体から、剣から噴き出し、溢れ出て、陽の剣へと集まってゆく。
    その剣を、陽は、ただ、全力を持って振り抜いた。


    「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」


    全ての牙と、炎が正面からぶつかり合い、そして、



    ―――牙が、折れた。



    天地を包む、巨大な口が燃え上がり、フェンリルは完全に消滅した。










    「・・・・・・・・・・ロアッ!!」


    陽は、ロアを抱き起こした。
    血まみれのロアは、力なく笑った。


    「すごい・・・・・・です、陽・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・・・フェン・・・・・・・ちゃん・・・・・・・・やっつけちゃいました・・・・・・・・・・・・・」
    「喋るな!ロア!」


    ロアの体は、大量の血を失っており既に冷たくなっていた。


    「いいん・・・・・・・・・です・・・・・・よ・・・・・・・もう・・・・・・・・助かりそうに・・・・・・・・・ない・・・・・・です・・・・・・から・・・・・・・・・・・・・」
    「ダメだっ!ロアッ!」


    陽は叫んだ。
    このままでは、どうしようもなく、ロアは死ぬ。


    (何か、ロアを助ける方法はないのか!?)


    そう思った陽に、不意な声が掛かる。


    「フン、予想通りレヴァンテインの方が勝ったか」
    「!?」


    いつの間にか、陽の背後に立っていた人物、それは、ヴァルキリー・ゲイレルルだった。


    「お前は・・・・・・・・・ゲイレルル!?」
    「ほう、我のことを覚えていたか、レヴァンテインの力、見せてもらったぞ」


    ゲイレルルはそういって笑った。


    「まさか、最後の組み合わせが、かの神剣レンヴァテインと魔剣ロキとの組み合わせになるとはな、面白い」
    「何を言っている・・・・・・・・・」


    ゲイレルルは、陽の問いには答えず、黙ってロアを見下ろした。


    「ふん、この人間、死にかけているな」
    「何をするつもりだ!?」
    「我はヴァルキリー、魂の運び手だぞ?死した戦士の魂をヴァルハラへ運ぶのが仕事だ」
    「やめろっ!!」


    陽は、ゲイレルルの前に立ち塞がった。


    「・・・・・・・・・何のつもりだ?それは先ほどまで貴様の敵だった者だぞ?」
    「違う!ロアは、そんなんじゃない!」
    「フン、なるほど、貴様はその人間の娘を死なせたくないと、そういうわけか?」
    「・・・・・・・・そうだ!」


    ゲイレルルは、何度か頷いた後。


    「その娘を助ける方法があるといったら、貴様はどうする?」
    「あるのか!?」


    ゲイレルルは、嫌みったらしい笑みを浮かべた。


    「簡単だ、その娘の魂を一時的に肉体から剥離させ、その間に肉体を修復すればよい」
    「そんなことが、できるのか?」
    「当たり前だ、我はヴァルキリー、魂の操作など簡単に出来るわ」
    「・・・・・・・・・だが、なぜ俺にそんなことを言う?」
    「なーに、最後の戦いを前にして逃げられてはこちらとしても面白くないからな、こうすれば、貴様は逃げられまい?」


    そう言うと、ゲイレルルは手に持つ槍を、ロアの体に突き刺した。


    「何をする!?」
    「まぁ待て・・・・・・・・・・」


    少しして、ゲイレルルがロアの体から槍を抜きだした。


    「終わったのか・・・・・・・?」
    「ああ、この娘の魂はいま頃ヴァルハラに送られただろう」
    「今の内にロアの体を治せば・・・・・・・!」
    「いや、貴様にはその前にやってもらうことがある」


    ゲイレルルは、右手の槍で、虚空を一薙ぎした、そして開かれたのは異空間。


    「この娘の魂は人質代わりだ、お前がこの先にいる、この町最後の神具の所持者を倒して帰ってくれば、この娘の魂は返してやろう」


    陽は、しばらくゲイレルルを見つめた後、


    「わかった」


    頷き、そして、


    「これで、ロアが助かるってんなら、俺は何人だって斃してやる」
    「ふふふ、期待しているぞ、レヴァンテインの所持者よ」


    そして、陽は、決戦の地へと、足を進めた。
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